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投資は余りにも販売側に有利な状況です。様々な意見を聞いてから判断しても遅くありません。


by racco
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松坂と井川にみる「勝者の呪い」

2007/08/31
『松坂と井川にみる「勝者の呪い」』

 「勝者の呪い」の事例と思われるものをひとつ。
 昨年の日本のプロ野球から「ポスティングシステム」で、米国メジャーに移籍した、松坂大輔(レッドソックス)と井川慶(ヤンキース)について。

 メジャーの選手は、ビジネスの「商品」であることは明白でしょう。選手自身もそれを自覚しているかどうかは別にして、その選手の実力だけでなく、集客力やグッズ販売などキャラクターとして権利も大きなポイントです。

 昨年から日本のメジャー志向の投手がかなり注目されていて、「ポスティングシステム」なんてオークションのような手続きにかけられました。
 事前に日本のマスコミが騒いだこともあるためか、報道によると、西武の松坂は、移籍金約60億円を提示したレッドソックス、阪神の井川は、移籍金約30億円を提示したヤンキースが獲得したと言われてます。かなり破格の金額と言えそうです。
 結果的に、売った側の西武と阪神が、ぼろ儲けした格好です。

 日本の野球でそれなりの実績と人気を獲得しているとは言え、球団を強くするだけなら、他の既にメジャーでの実績がある選手を獲得する選択肢もあるわけです。他球団の戦力を弱める効果もあるわけですから、かなり有力です。

 ヤンキースやレッドソックスは、他の球団よりも、それなりに金銭を豊富に保有していると思われています。逆に、選択肢が多くなって、迷うような面も多いとも言えそうです。

 ポスティングは、まず松坂から始まりました。
 ヤンキースとレッドソックスが争うような見方がされてました。複数球団の参加が予想されてましたから、金額が高くなる可能性が高いわけです。
 その実態は明らかではありませんが、ヤンキースは、レッドソックスの60億円とは大きな差があったようです。そして、ヤンキースは、次の阪神の井川を獲得しました。
 この時点では、ヤンキースは、松坂を諦めて井川を選択したとも思え、ある意味で冷静な判断をしたとも言えそうです。

 でも、シーズンが始まって5ヶ月くらい経過して、なんらかの判定が下せそうです。

 レッドソックスの松坂の方は、13勝をあげローテーション入りし、ファンもそれなりに獲得しているようですから、破格の移籍金からすれば、得とは言えず、とりあえず合格ってことでしょうか?

 一方のヤンキースの井川は、成績も振るわず、すでに不良品化してます。売りに出そうとしても、安い額では譲れないので、相手が見つからず売ることもできない(パドレスとは破談したらしい)。なんだか、大手銀行の不良債権状態です。

 ビジネスの観点からすれば、これらの状況をみると、レッドソックスだって、松坂効果でもっと成果をあげたいと思っているでしょう。現時点では、まだ「得した」とまでは思っていないハズです。
 ヤンキースは、伊良部に続いて、また失敗したと後悔しているとも言えそうです。松坂につられて、対抗意識みたいに、井川を獲得してしまったけど、安いと思った30億円でしたが、よく考えたら間違っていたのでは?

 そして、得して儲けたのは、売った側の西武と阪神ですね。阪神なんて、メジャー希望の松坂人気に便乗して、井川を売ったような感じで、タイミングが良かったのでは?

 熱くなったメジャーを利用して、西武も阪神もそれほど労力もかけずに、得しちゃったわけです。あくまでビジネスとしての見方ですよ。
 米国や日本のFA制度での移籍金でも、多くは「勝者の呪い」状況になっているとも言えます。

 メジャーも、日本選手を獲得する時は、もっと安い時期に買うべきだと考えるでしょう。日本の人気に、惑わされないべきだとも。
 日本だって世界と交流を図りたいのなら、メジャー志向の選手には、もっと理解を示して、若い時期に移籍させるのも良いのでは?
by raccoblog | 2007-08-31 11:24 | 投資よもやま話